はじめに
VRChatではアバターに小物を取り付けたり服を着せてカスタマイズする文化がありますが、アバターのカスタマイズはUnityを触る必要があり大変です。もしそうした小物や服の「試着」がVRChat上でできてその場でフレンドと共有できたら楽しそうじゃないですか?
そういうことができるワールドやギミックはいくつかあります。この記事ではそうした試着システムについて僕が見つけたものを作成された時系列順に紹介していこうと思います。
試着ギミックは大雑把に「VRHat系」と「もちおしゃ系」に分けられます。
VRHat系は以下の特徴を備えるものが多いです。
- 操作パネルがなく、VRのみ対応で直感的に操作できるが、Desktopには基本的に非対応
- オブジェクトのサイズ変更はできないものが多い
- オブジェクト単一で完結するため、オブジェクトをたくさん置きやすい
もちおしゃ系は以下の特徴を備えるものが多いです。
- 操作パネルがあり、VRとDesktop両方に対応しているが、オブジェクトの位置や回転の調整は難しい
- オブジェクトのサイズの変更ができる
- 操作パネルが付属するため、オブジェクトをたくさん置きづらい
もちろん厳密に分けられるものではなく、両方の性質を備えたものや例外的なものも存在します。しかしこの分類は多くの場合に当てはまるのでこのことを踏まえて見ていけば理解しやすいと思います。
更新履歴
20210105 「シャオンちゃん交流会会場」を追加しました。
20210105 公開
VRHat (CyanLaserさん、2018/09)
I have finally request VRHat to be public. Thank you everyone for helping me test these last few weeks! #VRChat #VRChatWorlds #VRChat_world紹介 pic.twitter.com/sdVRDuAYGX
— CyanLaser (@CyanLaser) September 1, 2018
僕が調べたかぎりだとこれが一番古い試着できるワールドです。Udonは使われていません(Udonは2020/4公開)。燃えてたり口とかがあったり帽子以外の様々なオブジェクトを取り付けられてコミカルな雰囲気です。Desktopには非対応ながらVRだと十分楽しく遊べるギミックになっています。
シャオンちゃん交流会会場(mkc1370さん、2020/5)
試着会とかで使えそうなのを作ってみたー🦊
— mkc1370 (@mkc1370) May 18, 2020
・マテリアルの切り替え等ができる
・試着会用のワールド以外ではアバターが表示されない
・他のプレイヤーから見ることができない(実装次第で他のプレイヤーからも見られるようにできそう)
モデル:シャオンちゃん#VRChat#MadeWithUdon
リプに続く pic.twitter.com/leHHEVLXMN
分類が難しいです。無理やり分類するならもちおしゃ系ですが、もちおしゃワールドよりもこちらのワールドの方が公開日時は早いです。そして、もちおしゃワールドとは違ってこちらのギミックは衣服の着替えを主眼としていません。衣服ではなくアバターを着替えるという発想です。
仕組みは結構単純で
— mkc1370 (@mkc1370) May 18, 2020
ボーンだけのアバター(メッシュなし)をアップロードしてワールドのペデスタルに置く
ワールドにボーン・メッシュ込みのモデルを置く
UdonのVRCPlayerApi.GetBoneRotation()でボーンとメッシュの位置合わせをする
マテリアルの切り替えはUIを作ってゴニョニョ…
続く
プレイヤーのアバターを透明のアバターに切り替えたあと、ボーン付きメッシュのアバターモデルを着せることでアバターをまるごと試着できるという仕組みのようです。そしてアバターモデルの髪や衣服のマテリアルを操作パネルから切り替えられるようにすることで色のコーディネートを実現しています。ただし同期はされません。Desktopにも対応。
Mochi Mochi Oshare Udon Room(おもちのびるさん、2020/06/19)
Udonで作った着せ替えワールド「Mochi Mochi Oshare Udon Room」をCommunity Labsにアップロードしました!動画のように置いてある衣装を試着することができます!試してみてね!https://t.co/0WhVEyiw6P#VRChat#VRChat_world紹介 pic.twitter.com/qf8NZwpu5e
— おもちのびる@Vket5 VirtualShowcase -Ruby- 2F (@omochi_otoca) June 24, 2020
通称もちおしゃワールド。頭部だけでなく全身を含めてドレスやスーツなどの衣服を着用することができます。VRはもちろんDesktopにも対応しています。ひとつの服につきひとつの操作パネルが対応していて、着ているプレイヤーではない別のプレイヤーが大きさや位置を調節できるのも特長です。
Colorful Magic clothing room (キャンディちゃんさん、2020/06/28)
分類としてはもちおしゃ系ですが、Mochi Mochi Oshare Udon Roomとはまた違った方針の着せかえワールドです。アウターやボトムスといった部位ごとに異なる衣服が用意されていて、それらの組み合わせで様々なコーデを楽しむことができます。Desktopにも対応、服の色を変えることもできたり、撮影スポットも用意されていたりなど、全体的に洗練されたワールドです。
Udon試着ギミック(おにさわさん、2020/08)
もちおしゃ系です。もちおしゃワールドのギミックを簡略化して小物用にした感じです。Desktopにも対応。小物を装着するならこれくらいのシンプルさがちょうど良さそう。
話題が逸れますが面白いのでこの動画を見てください。
Object Fitter(ねこのやさん、2020/11)
ワールド内に設置された衣装やアクセサリーなどを、プレイヤーがその場で試着・調整・共有が出来るようになる Udon / UdonSharp ギミック「Object Fitter」を公開しました。専用のエディター拡張が付属してあるので、設定もかんたんに行えます。だいたい同期もされます。https://t.co/Fs289C6196
— ねこのや (@Nekonoya_Booth) November 28, 2020
もちおしゃ系のギミックのようです。服と操作パネルが付いています。Desktopにも対応。服にフォーカスしたワールドを作成するならこれを使うとよさそう。
Vket5 UdonCube UC-0E / Red-01 Phasedragon(Phasedragonさん、2020/12/19)
I'm selling UdonPockets at #Vket5! This is an udon prefab that allows you to attach pickups to your body. It only requires one script in the whole world so you don't need to put any script on your pickups. https://t.co/icw3pGKVqo
— Phasedragon (@Phasedragoon) December 19, 2020
VRHat系です。「うどんポケット」という名前のとおり着用というよりはオブジェクトをアバターに追従させることを目的としたギミックです。VRのみ対応。ヘルメットのような頭部に設置するものだけでなく、剣や銃などの小物をアバターの脚や胴体にくっつけられるようになっています。VRで拳銃を腰に付けられるのはいい感じです。単一のスクリプトでワールドに含まれる全てのPickupオブジェクトに適用できるのも面白いです。
Follow_Head Tools(さばちゃんさん、2020/12/19)
そしてなんと!3Dオブジェクトがプレイヤーの頭に追従してくるツール『Follow_Head Tools 』を【【無料配布】】することに致しました!!VRCSDK3を用いたワールド用のギミックです。詳細は下記商品ページをご参照下さい!!!
— さばちゃん (@sabachan_vrc) December 18, 2020
【Free】Follow_Head Tools | さば屋 https://t.co/zZqWeYKza5 #booth_pm
VRHat系ですが、VRHat系には珍しくオブジェクトの大きさも変更できるようになっているのが特長です。VRのみ対応。装着は頭部のみにフォーカスしています。
UdonHat (azarashiumさん、sandman、2021/01/03)
帽子やアクセサリーを自在に着けられる、VRchatワールドをコミュニティラボにリリースしました!
— アザラシ@Vket5_オービタル05-D (@azara_shium) 2021年1月3日
サイズや角度を変えたり、組み合わせてコーディネートも楽しめます。
デスクトップでもOK!
「UdonHat」ぜひ遊びに来てください。#VRChat_world紹介 #MadeWithUdon #VRChat https://t.co/guMd8VG3br pic.twitter.com/VH085Q0qAc
もちおしゃ系です。僕とフレンドのazarashiumさんとで作成して公開したワールドです。Desktopにも対応。装着は頭部のみにフォーカスしています。
UdonHatではオブジェクト(帽子やアクセサリー)と操作パネル(三面鏡)を分離することでDesktopでも調整できて、かつオブジェクトもたくさん置けるようにしてあります。
アクセサリー試着システム(きゅぶんずさん、2021/01/04)
VRHat系です。UdonSyncedを使わずに実装されているのでワールドに大量に置いても同期できるという特長があります。VRのみ対応。
まとめ
こうしてみると試着ギミックはどれも特徴があってそれぞれ異なる想いがありますね。
もしここで挙げた以外で試着ギミックや試着ワールドをご存じの方、自分もつくったぜという方がいたらぜひ教えて下さい。加筆しようと思います。 また、ここで書いた情報が間違っている、更新して変わった等の指摘もいただけると幸いです。
UdonHatのギミックも同期周りを改善して何らかの形で公開したいと考えているので続報をお待ち下さい。
僕の想いとしては、ふらっと行ったワールドに、そのワールドに合った小物があってそれを着用して遊べるという世の中になればいいなあと思っています。温泉でタオルを頭にかけたり、ウェスタンなワールドでかっこいい帽子を被って早撃ちしたりしたいです。帽子自体にギミックが仕込まれてるのも面白そうですよね。
参考
この記事はUdonHat公開後に円フツさんがVRC試着システムについてまとめてくれた以下の一連のツイートをもとに作成しました。
VRC試着システム
— 円フツ (@enfutu) January 4, 2021